ROA顧問 ししまる氏によるイラスト作品展示
「Highway Aesthetics」。日本語に訳せば、「街道美学」。
日本では「ハイウェイ」と聞くと高速道路を思い浮かべますが、海外で高速道路を指す言葉は、フリーウェイやエクスプレスウェイ。ハイウェイとは本来、街と街を結ぶ国道や街道を意味します。
「街道美学」は、1976年に放送されたNHKのドキュメンタリー番組で初めて使われた言葉だったと記憶しています。奇しくも、私が生まれたのも同じ1976年でした。
この言葉が表していたのは、長距離トラックの運転手をはじめとする、職業運転手たちの間で育まれたカスタム文化と、道の上で受け継がれてきた流儀です。
1970年代から80年代。
深夜の暗い国道を孤独に走るドライバーたちは、それぞれのトラックを思い思いの電飾で飾っていました。
遠く前方から近づいてくる灯りだけで仲間の車両を見分け、
「あれは○○丸だ。あいつも頑張っているな」と、その存在に孤独を癒やされたといいます。
ある著名な映画監督は、トラックやクルマ、バイクを飾ることを「機械に人格を与える行為」と表現しました。
街道美学。
ドライバー同士の礼儀や思いやりから生まれた街道仁義。
そして、独自の姿へと仕上げられた街道レーサー。
そこにあるのは、単なる装飾や目立つためのカスタムではありません。
道の上で生きる者たちの誇りや信念、仲間への敬意が、車両の姿となって表れたものです。
私自身、幼い頃から道の上で生きる人々との交流や、映画をはじめとするさまざまな文化の影響を受けてきました。
道の上には、出会いがあり、別れがある。
同じ場所ですれ違うのは、ただ一度かもしれない。
だからこそ、道の上で出会う人々は、それぞれの美学を胸に秘めているように感じます。
今回開催した「Highway Aesthetics ― 街道美学 ―」は、そうした道の文化と、
機械に宿る人格、そして一台一台の背景にある生き方へ目を向けるための試みでした。
それぞれの愛機に刻まれた美学と、道の上で重なった一期一会。
ご参加いただいた皆さまとともに、その意味をあらためて見つめる時間となりました。